EN JP  
COLUMN

12. 12SCを搭載したref.570

今回は、前回に引き続きref.570について少し書いてみようかと思います。

画面1

今回は570の中でもインダイレクトのセンターセコンドキャリバーである12SCを搭載した570について説明をさせていただきます(画像1)。

センターセコンドの570は初期型の12SCと27SCが存在していますが、一般に市場に良く流通しているのは、圧倒的に27SCの方が多く、12SCを搭載した570は、ひょっとすると10個よりも少ない数字しか市場には残っていないかもしれません。
12SC自体の製造数は、1938年から1950年の約12年間製造されたのですが、HUBER & BANBERYの本によると以下のムーブメントナンバーが12SCとされています。

828.812-828.835:

1938-1939 24個
828.920-828.943: 1939 24個
829.238-839.261: 1939-1940 10,024個
861.704-864.995: 1939-1948 3,292個
864.002-864.995:  1948-1950  994個

上記のデータから合計すると、12SCの総製造数は14,358個になります。

しかし、前述の資料では、上記の3段目の829.238-839.261が12SCとされていますが、12SCの元ムーブメントとなる12-120で、上記ナンバーに該当するのは、826.892-829.999で、830.000-839.261がナンバーから外れてしまいます。他方、830.000?はレクタングルのキャリバーである9-90に使用されていますので、恐らくはHUBER & BANBERYの本の記載間違いで、実際は上記ナンバーの内3段目が829.238-829.261で、10,024個ではなく24個が製造されたと推測されます。また、一番下の864.002-864.995は、一段上の861.704-864.995に含まれてしまいますので、ここにも何らかの間違いがあるのかもしれませんが、このナンバーについては、ちょっと推測が難しく、また、865.000台の12SCは今のところ見当たらないので、このナンバーは「ダブリ」と考えます。

一方、逆に828.812以前のナンバー、つまり827台の12SCも多数存在しておりますが、827台では12-120とナンバーが交錯しているため、具体的な数字を推測する事はできません。
以上のデータを考慮した上で、筆者の考える12SCの製造数は、3,500〜4,000個とみています。

さて、ref.570で12SCとして筆者が把握しているのは、以下の通りです。

Movement No.

Case No.

Type of metal

Note

861771

301832

YG

−

864341

626954

SS

864459

299027

YG

Breguet dial

864493

SS

Patek Museum(画像2)

864613

299635

RG

Seconds track

864789

300057

YG

Black dial

画面2

もちろん、ref.570の12SC全てを網羅しているわけではありませんが、上記の個体の全てのダイヤルデザインが異なっており、当初ref.570はスモールセコンドモデルとして販売されたが、顧客からの要望に応じてカスタムメイドで12SCを搭載したセンターセコンドを製造したのではないでしょうか?

今後、上記の時計以外にも市場に出てくることはあるとは思いますが、その時はきっとまた新しいダイヤルデザインの個体が出てくるであろう事を期待します。