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COLUMN

21. ref.3939について

 久しぶりのコラムはモダンピースの金字塔であるトゥールビヨンミニッツリピーターのref.3939について触れてみたいと思います。
 新しいリファレンスですが、今回たまたま手にする機会がありまして、折角の機会なので色々調べていたら、年代によって案外ちょっとした違いがありまして、それならその事をコラムに書いてみようと思ったわけです。
 ref.3939は1992年に最初の1本が販売され2011年まで継続して販売されました。
 この3939と言うリファレンスナンバーなのですが、これは1986年に販売が開始した永久カレンダーのref.3940よりも番号が若いと言う点を考慮すると、3939が商品化に向けて計画されたのは、案外早い段階であったことが推測されます。
ちなみにトゥールビヨンを搭載していないミニッツリピーターモデルとしてref.3979があり、正しくはこちらがref.2524の後継モデルと言えるかもしれませんが、3939よりは番号が後であることから、3939の方が最初に計画された可能性はあると思われます。
 その20年間の総製造個数ですが、ref.3939はムーブメントナンバーが1,903,001と言うナンバーから連番で製造され、2010年6月販売の個体のナンバーが1,903,158個目と言うデータがありますので、その時点で少なくとも158個が製造されたのは事実です。最終的に2011年まで販売がされたという事から判断すると、総製造個数は恐らく170個前後なのではないでしょうか。
 しかし、いわゆるシリーズとして製造されたref.3939以外に、数年前にChristie’sのオークションに出品された “Mother-of-Pearl (真珠貝ダイヤル)” の個体のムーブメントナンバーが5,000,016であったり、同じくAntiquorum社のチャリティーオークション用として、特別に1本のみ製造されたスティール製のref.3939のムーブメントナンバーが5,000,475であったりしているので、シリーズとして製造された約170個以外にも数個は特別な注文に応じて製造された可能性はあるようです。
 さて、このref.3939ですが、その少ない製造個数の中でもいくつかのマイナーチェンジが見られます。
 まずは、最初の数年は小さ目のクラウンが使用されておりましたが、それ以降は大型で扱いやすいクラウンが使用されております。現実的には小さいクラウンの方が数が少ないわけですが、大きいクラウンの方が操作性も良いですし、インパクトがありますね。
 続いて、ダイヤルですが、こちらは2回のマイナーチェンジが見られます。
恐らく2007年辺りの製造から6時下にそれまで “SWISS” から ”EMAIL” に変更となりました。
subinitial-3.jpg
 続いて2008年になってそれまで全体がフラットであったダイヤルがそれ以降はサブダイヤルのみ別作の手の込んだ造りに替わりました。
subsecond-3.jpg
 以上が、二つのマイナーチェンジですが、大した違いが無いと言えばそれまでですが、この時計のオーナーにとってはこのような些細な違いも、極めて興味深いのではないでしょうか。
 それでは、その繊細なリピーターのサウンドをYouTubeにアップしたのでよろしければこちらからご覧ください。