COLUMN

15.

ref.2499について

いよいよ師走になり、何かと忙しい今日この頃ですが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
最近は専らTIME ONLYの時計についてのコラムばかり書いておりましたが、今回はPATEK PHILIPPEのグランドコンプリケーションの金字塔とも言えるref.2499について、少し整理してみようかと思っております。
ref.2499は、ref.1518の後継モデルとして1950年の販売開始から35年間の長期に亘る販売期間の間でわずかに349個しか製造されませんでした。従って、平均すると9〜10個/年しか製造されなかったと言う事になります。 
今でこそ、各メーカーはグランドコンプリケーションをMDの中で揃え、価格的にも供給の面でも格段に求めやすくなっていますが、当時は、前述の通り、年間平均10個未満ですから、「極めて限られた人しか手にする事の出来なかった時計」と考えて間違いはないでしょう。
手元に1955年頃のカタログがあるので、価格表と共にご紹介します。
IMG.jpg
当時の価格ではSfr.3,685になっています。
ref.2499は現在市場では3千万を超えて取引されていますが、3千万の時計となるとそう簡単には手にする事の出来ない時計ですが、前述のように、別格の時計として考えれば決して「高すぎる」と言う事ではないかもしれません。
さて、それでは、具体的に見て行きましょう。
ref.2499は一般的には4世代に分けられています。それぞれの世代の中でも主にインデックスや針の形状に変化はありますが、大まかに考えても4世代で分けて差し支えは無いと思います。
続いて、各世代毎の代表的な特徴を以下に説明していきます。
まず、第1世代はref.1518の流れを汲んで、ref.2499の中では唯一のスクエアプッシュボタンが特徴になります。ダイヤルはタキメーターとアプライドのアラビック数字と言う組み合わせがスタンダードなバージョンとなりますが、針の形状はleafからdauphineの変化はあります。
続いて第2世代からラウンドプッシュボタンとなります。ダイヤルは初期がアプライドのアラビック数字で、後期はバトンインデックスになります。こちらも針の形状はleafとdauphineの二通りが見られるようです。
第3世代になると、ダイヤルからタキメーターが消えるため、ぐっとシンプルな印象を与えます。ダイヤルは初期は12時のみアラビック数字でしたが、すぐに全数字バトンインデックスになり、針は初期がleafで後期がdauphine型になります。
最後の第4世代はサファイヤクリスタルが導入され、リファレンスもref.2499/100となります。
サファイアクリスタルを導入しているためベゼルの高さに少し違いが見られます。画像は左が第3世代のサイドで右が第4世代のサイドになります。明らかにベゼルの高さが異なります。
case side smallest.jpg
ダイヤルは第3世代と同様タキメーター無しのバトンインデックスになります。
画像は左から右にアラビック数字の第1世代、ローズの第2世代、同じくローズの第3世代、そして第4世代になります。
2499 1-4 small.jpg
上記が各世代の基本型ですが、第一世代にもバトンの物が見られますし、もちろんブラックダイヤルや、3rdでタキメーターつきの物も見られます。これらは当初からの特注モデルか、もしくは後年でオーナーのリクエストでダイヤルを交換されたパターンの二通りがありますが、一般的には、当初からの特注モデルの方が高い評価が得られています。
一方、ケースの素材ですが、圧倒的にイエローゴールドが殆どで、ローズは349個の内、トータルで50個にも満たないのではないでしょうか。また、ホワイトゴールドの2499は存在は知られておらず、プラチナケースが第4世代で2個製造されたようです。
さて、ref.2499の総製造個数は349個ですが、それでは世代別には何個づつ製造されたのかと言う疑問があります。現在、手元には200個弱のデータベースがありますが、2499の場合はムーブメントナンバーが比較的きっちり連番になっているため、概ね予想する事ができます。
その結果、飽くまで概算ベースですが:
第1世代: 約50本
第2世代: 約40本
第3世代: 約140本
第4世代: 約120本
と考えています。
繰り返しますが、あくまで概算ですので正確ではありませんが、割と近い数字なのではないかと思います。
最後に私が把握しているローズゴールドのデータベースだけ紹介しましょう。
左から右に:ムーブメントナンバー・ケースナンバー・世代・特徴となります。
868,248・ 665,024・1st・PULSATION
868,249・ 665,025・1st
868,338・ 665,027・1st
868,226・ 696,524・2nd
868,605・2,611,730・2nd
868,609・ 696,521・2nd
868,610・ 696,522・2nd
868,611・ 696,523・2nd
868,612・ 696,524・2nd
868,613・ 696,525・2nd
868,752・ 696,517・2nd・GOBBI, MILAN
869,357・ – ・3rd
869,436・2,637,707・3rd
869,437・2,637,712・3rd・TRUCCHI, NAPOLI
869,438・2,637,713・3rd・TIFFANY
869,439・2,637,714・3rd
869,440・2,637,715・3rd
869,441・2,637,716・3rd
ご覧の通り、一部をのぞいて殆どが連番になっており、その事からローズのref.2499も特注品ではなく、通常品として製造されたであろう事が推測されます。
ref.2499は90年代は特別なモデルを除けば、まだそれほど極端には高額では無かったのですが、2000年代以降になって極端に高額になってきたために、むしろ近年の方が市場に出てくる量が増えてきたようです。
現在は、極端な高騰も一旦落ち着いてますが、それでも高額で取引されていますので、しばらくは、比較的流通量も余裕があるかもしれません。
ただ、製造数が圧倒的に少なく、価格が極端に下がるとは思えないので、円高のメリットが活かせる今は比較的購入のチャンスではないかと思います。

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