COLUMN

09.

時計の箱について

アクセサリーについてのコラムパート2です。

今回は、時計の箱について少々書いてみたいと思います。

Patek Philippeの時計用の箱は、マニアックなアクセサリーの一つで、デザインもユニークな物が多く、箱ばかりを集めているコレクターもいるほどです。

古くてコンディションの良いものになると、それこそ10万円を超えるものあるので驚きです。

現在のコレクターの方々は、時計を箱や保証書等の他の付属品と一緒に大切に保管しているのが通常でしょうが、昔は、腕時計そのものも中古市場など存在はしなかったので、現在のように転売や資産的な価値を考慮して「付属品も一緒に保管しておく」という習慣が無かったのでしょう。

また、時計がある「家」の中で世代に渡って受け継がれることも多かったでしょうから、受け継がれるたびに、付属品と時計が別々の人生を歩むことになってしまったのだろうと思います。

従って、昔の時計は、箱や保証書が一緒に付属しているケースは非常に稀で、付属品だけが市場に流通するというケースも出てくるわけです。ただ、全てが一緒であってこそ本来のその時計の姿であるわけですから、vintageの物で箱・保証書が付属した物こそ、本当に由緒正しい時計と言えるのではないでしょうか?

さて、続いて箱のバリエーションをいくつか紹介していきます。

まず最初に、1940年代後半に主に使用されたコフィン(棺)型の箱です(画像1)。こちらは、型押しの皮張りでタイプです。皮ベルトの時計に使用されましたが、表面は比較的スムーズなものから、かなりゴツゴツしたものまで様々です。

次の物は、同じく1940年代の後期から50年代の初期に使用された、シンプルな形状の箱です(画像2)。中でベルト部分を折って収納するため、後期のものよりもサイズが短めになっています。また、ベルトを固定するための穴も空いています。

画面1

画面2

続いて、1950年代中〜後期に使用されたいわゆるバラフライ型の箱赤と黒です(画像3)。Ref.2526にも使用されていますが、中のホルダーで時計を固定するタイプです。羽を折る部分の強度が弱く、皮が切れてしまう事が多いようです。この赤の箱は外箱(画像4)も一緒に付属していて、全くのデッドストック品です。このような状態で見つかる事は非常に稀なケースです。

画面3

画面4

続いて、同じく50年代に使用されたシンプルな形状の箱です(画像5)。こちらは赤い物が多いようです。やはり、ref.2526やref.570に使用されているケースが良く見られます。

画面5

1960年代に入ると、このタイプ(画像6)の箱が良く見られます。このタイプは1970年代まで使用されたようで、Vintageの箱の中では比較的良く出回るタイプで、黒や茶色の物が見られます。流通量の多いref.3445等の時計に使用されたので日本でも時々ヤフオクで出品されたりもします。時代が新しいこともあり、比較的コンディションの良い物も見られます。

画面6

続いて、1970年代後半から1980年代半ばまでの間に使用されたお弁当箱型の箱です(画像7)。この箱は、私の個人的にも好みの箱でして、インナーが赤色のものが通常ですが、オフホワイトの物も見られます。当時は、通常のシンプルな時計からref.3450やref.2499といった高価な時計にも使用されていました。また、ノーチラスもごく初期はこの箱が使用されていたこともあるようです(後半はコルクの箱)。

画面7

1980年に入ると、赤茶色のこの箱が使われるようになりました(画像8)。この箱は、前述のような様々なデザインやカラーの箱と較べると、バリエーションも少なく、またデザイン的にもあまり面白みが無い為、あまり人気が高くないようです。恐らく、クォーツ時計の影響を受け不況に陥ったスイス時計業界の当時の世相を反映して箱にあまりお金を掛けなくなったのだと思います。インナーの生地もあまり丈夫でなく剥がれが良く見られます。

画面8

1980年代後期には完全な箱型に移行します(画像9)。表面の皮やインナーの生地はこの前のモデルと同様ですが、同じくインナーがボロボロになってしまうこともあり、品質はあまり良くはありません。このタイプは、1990年代に入っても良く使用されましたが後半にはインナーの剥がれも比較的改善されているようです。

画面9

1990年代に入って、高級機械時計の市場が、勢力を盛り返してくると、箱も高級化して木製の立派な物が使用されるようになりました。また、自動巻きように電源を入れると回転する機能を持った箱(画像10)も見られるようになりました。

画面10

番外編として女性用のとってもキュートな箱もございます(画像11)。このPPのロゴタイプは、70年代頃の皮ベルトに見られるので、恐らくその頃も箱ではないかと推測しています。

画面7

今回ご紹介した箱だけでなくもっと様々なデザインや色合いの箱が存在します。また、新しい箱が入手出来ましたらご紹介します。

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